過去の核戦争時代、

「恐怖の均衡」
または
「最小限抑止」
は強大国間の全面戦争を不可能にした。現在進行している第4次産業革命分野の技術革新はこの均衡を脅かすだろうが、当分は伝統的な
「恐怖の均衡」
が維持されるしかない。特定技術の革新は相手のオプションを大きく制約するからだ。政策手段として
「戦争」
というオプションを選択するのはますます難しくなる。大規模な戦争を選択するしかない米中は、もはや戦うよりも別れること、デカップリング(decoupling)を図る可能性が高い。2001年の中国のWTO(世界貿易機関)加盟以降に進んだ米中
「カップリング時代」
から離脱するということだ。 

  米中貿易紛争は徐々に戦略および軍備競争、理念戦争へと激化している。人工知能、ICT、サイバー、宇宙などの領域で主導権争いをしていくだろう。競争の日常化だ。両国は競争のプリズムで世界を眺めながらどちら側につくか選択を強要するだろう。戦略競争の結果による一方主導の

「パクスアメリカ」
または
「パクスシニカ」
になるのではない。米中という2つの軸を中心にした巨大ブロック化の構図が形成される可能性が高い。 

  ただ、米中の吸引力が過去の米ソ冷戦時代には及ばないのが現実だ。他国はすぐに米中の軌道に乗るより、自らの生存戦略を苦心しなけれ