戦略的判断よりも即興的決定に慣れた金正恩(キム・ジョンウン)政権の対南・対外政策は一寸先も見通すことが困難だ。金正恩・金与正(キム・ヨジョン)による決定だった可能性が高い。 常識的に判断するならば、崔竜海(チェ・リョンヘ)労働党組織指導部長あたりを派遣していれば、対米接触は勿論、韓国政府との円満な対話が可能だったはずだが、独断で決定が下される構造下でそうした意見が金正恩には極めて通じにくい。彼らの決定は時には相手の虚を突くが、失敗が多く、現在の北朝鮮政権の危機を自ら招いている。 金英哲は李明博(イ・ミョンバク)政権初期、南への圧力攻勢をかけるために創設された

「偵察総局」
のトップだった。偵察総局は南に対する破壊任務を遂行していた労働党傘下の作戦部、35号室、対外連絡部などを吸収し、特殊工作を目標として再編された組織だった。偵察総局は李明博大統領に侮辱された金正日(キム・ジョンイル)の復しゅうのために成立した。 2009年、北朝鮮は大規模な水害の復旧に向け、食料10万トンの支援を韓国政府に求めた。李明博政権は白米ではなくトウモロコシ1万トンを支援することを決め、全ての分配過程をモニタリングするという条件を付けた。韓国政府はそれまで無条件で数十万トンの食料を支援したが、李明博政権はトウモロコシで自分を侮辱した--。金正日はそう考えたのだった。 当時金正日は